脳神経外科・脳血管内治療科 (のうしんけいげか・のうけっかんないちりょうか)
対象医療と治療方法
市民病院脳神経外科には毎年約1000例の患者さんが入院します。手術件数は、年間約400件、低侵襲手術である血管内手術は年間100-200例を行っており、脳卒中を含む脳血管障害、脳腫瘍、三叉神経痛・顔面けいれん、水頭症など様々な疾患を扱っています。脳神経外科疾患は直接生命に関わる他、後遺症が生じれば重い障害を残します。こうした危険性をできるだけ減少させつつ、確実な治療を行うために、当科でも最新の機器を導入して正確な診断に基づく治療を行うよう心がけています。
<開頭手術>
術中ナビゲーションシステムや脳機能モニタリング(MEP、SEP、VEP、顔面神経などの神経刺激装置)を駆使した手術を行っています。顕微鏡手術においては蛍光診断(脳血流評価のできるICG、脳腫瘍診断のできる5-ALAなど)の可能な手術顕微鏡を用いており、脳動脈瘤クリッピング術、頸動脈内膜剥離術、脳血管吻合術、脳腫瘍摘出術、三叉神経痛・顔面けいれんに対する微小血管減圧術など幅広い手術を行っております。また、2015年4月に当院に手術室に血管撮影装置を併設したハイブリッド手術室が増設されました。これによって高難度な脳動脈瘤の治療も可能となりより安全で確実な手術が提供できると考えております。
<脳血管内治療>
カテーテルによる脳血管内手術は3名の専門医を中心に、年間100-130件の手術件数があります。未破裂脳動脈瘤に関しては脳ドック学会のガイドラインに従って治療適応によって検討し、最新のデバイスも駆使しながら安全に塞栓術を行なっております。頸部頸動脈狭窄症に対しては、頸動脈に存在するプラークの性状を十分に評価した上で頸動脈ステント留置術を安全に行っています。脳梗塞の超急性期に一刻も早く血流を再開させるカテーテルによる血栓回収術も神経内科と共同で積極的に取り組んでいます。
<脳腫瘍の治療>
髄膜腫、下垂体腺腫、神経鞘腫、悪性神経膠腫(グリオーマ)、脳原発悪性リンパ腫、転移性脳腫瘍をはじめとして幅広い疾患に対応しております。 良性腫瘍においては原則として全摘出を目標とした開頭術もしくは神経内視鏡手術を行っております。悪性腫瘍に関しては、その病理学的診断に応じて、放射線科および血液内科と協力して放射線・化学療法を積極的に行っております。当院放射線科は最新機器を用いた様々な手法での放射線治療を行うことが可能であり安全かつ効果的な脳腫瘍治療が提供できると期待しています。