広島市民病院

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TEL:082-221-2291 FAX:082-223-5514
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病院長挨拶

病院外観

病院長挨拶

病院長 秀 道広の写真

広島市民病院は、昭和27年8月、まだ原爆の爪痕があちこちに残る広島に、都市の復興と人々の健康への期待を受けて設立されました。私はその5年後にこの病院で産声を上げ,小学校から、中学,高校、大学までを通して広島で育ち、医師になりました。卒業後は広島大学病院で皮膚科医として訓練を受けつつ大学院に進学し、米国、英国、尾道で研究と臨床の経験を積んで広島に戻りました。広島大学では平成13(2001)年より皮膚科教授を務め、令和3(2021)年4月1日に広島市民病院病院長を拝命致しました。

当院は、広島市の交通の要衝としての立地条件と県内最大の病床数に恵まれ、地域がん診療連携病院、総合周産期母子医療センター、地域医療支援病院に指定され、「患者さんと協働して、心のこもった、安全で質の高い医療を行う」ことを基本理念に人々の命と健康を担う地域中核的病院として日々成長を続けています。

 救急医療では、いち早く北米型の救急外来(ER)を取り入れ、夜間・休日の重症から軽症の様々な患者さんへの対応を特徴とします。中でも心疾患、脳卒中の患者数は多く、その他の外科疾患では昼夜を問わず重症例に対応し、必要に応じて緊急の手術を行っています。また、がん、周産期医療の当院が担当する件数は多く、大学病院を除く市中病院の全身麻酔手術件数では国内屈指の成績を収めています。

一方、医療技術の高度化と人口の減少・高齢化が進む中、各医療機関に求められる役割は大きく変化しつつあります。特に令和2(2020)年初頭から広島にも拡大した新型コロナウイルス感染症は、広島の医療体にも大きな変化を求めました。また、令和6(2024)年に始まる医師の働き方改革の法令の施行により、個々の医師の長時間労働が制限されます。それらの環境の変化を受けて、私達は様々な工夫を凝らし、限られた病床で少しでも多くの患者さんの要請に応えるために、作業の効率化や治療の質を上げて、より短い入院でご自宅に戻る、あるいは療養型医療施設へ転院いただく医療を目指しています。

また、医療の進化は留まるところを知りません。近年、抗がん剤を初めとするたくさんの治療薬が登場し、心臓弁のカテーテル治療が進んでこれまで治療できなかった高齢者の治療もできるようになり、外科領域ではロボット手術が普及してきました。その結果、より多くのがん患者さんが外来通院で治療を受けられるようになり、当院では令和4(2022)年に主に抗がん剤治療に使う無菌室を整備し、令和5(2023)年には手術ロボットのダヴィンチを2台に増設しました。新型コロナウイルス感染については、5類への変更後も重症、難治性の基礎疾患を持った患者さんを中心に受け入れを継続する予定です。このように、当院は今後ともいっそう他の医療機関との連携を密にし、広島および近隣地域の病院群の中でも中核的な役割を担うことを目指しています。そしてこれらの医療を、病院で働くすべての職員はもとより、ぜひ病院を訪れる患者さんやご家族、およびその周囲の人達とともに作り上げていきたいと思います。

 当院を訪れるすべての患者、ご家族の皆さん、また関係する皆さんに、今できる最善の医療を実現するため、私達はあらゆる努力を惜しまず、新しい可能性に挑戦する決意です。世界の誰もが知っている広島で、人々のいのちと健康を守る広島市民病院を、どうぞ宜しくお願いします。

令和5年5月5日
地方独立行政法人広島市立病院機構広島市立広島市民病院
病院長   秀 道広
広島市民病院の病院医誌第39巻の「巻頭言」