対象医療と治療方法
うつ病を中心とした気分障害やパニック障害、心理的側面を考慮した治療を要する身体疾患である心身症の患者さんなどが数多く受診されています。さらに統合失調症や、アルツハイマー病をはじめとする老年期精神障害など幅広い精神疾患に対応しています。また精神的な症状で始まる病気に身体疾患が隠れていることもあるため、画像診断なども利用してきちんとした初期診断を行っています。
地域で開業しておられる精神科専門医の先生方約30名と連携協力し、オープンベッドシステムを利用して当科で入院治療を行い、改善された後の外来治療では再びかかりつけの専門医の先生に継続して診ていただけるよう配慮しています。
うつ病の患者さんは大変多く、SSRI、SNRIなど最新の抗うつ薬も含めた専門的な薬物療法を行っています。必要な場合には入院していただき、十分な休養と薬物療法に加えて、病気に対する疾患教育やご家族へのアドバイスを行っています。近年うつ病と診断される患者さんの中に、軽度の躁状態を経験したことがありながらそれに気づかれていない場合が少なくないということがわかってきました。これらの患者さんでは抗うつ薬だけを投与すると経過が不安定になることも多く、気分安定薬を中心とした専門的な薬物療法が必要になります。難治性や重症の患者さんについては、麻酔科医の協力の下で電気けいれん療法を行って高い治療効果を上げています。
パニック障害の患者さんには近年非常に進歩した薬物療法に加え、バイオフィードバック療法や自律訓練法、認知行動療法などの心理学的治療も併用しています。
内科や外科など一般科の病棟に入院中の患者さんに不眠や不安、抑うつや興奮など精神的な問題が生じた場合にも積極的に治療にあたっています。全ての科で身体的治療だけでなく、精神的側面にも配慮した入院治療が受けられるよう協力しています。
精神科の入院治療は専用の開放病棟で行っています。閉鎖病棟がないため興奮や混乱の強い患者さんの入院は難しい反面、うつ病の患者さんの休養やストレスケアには適した病棟となっています。クリニカルパスを積極的に導入し、効率的で患者さんにとってわかりやすい入院治療が行えるように心がけています。