部門紹介
緩和ケア科は院内に設置された緩和ケアチームの中心となり、入院・外来患者さんに専門的な緩和ケアを提供する診療科です。
このホームページをご覧のみなさまは「緩和ケア」と聞くと、どのようなイメージを持たれるでしょうか?「緩和ケア」=「緩和ケア病棟(ホスピス)」=「がんの終末期」と連想される方がまだ多いのではないでしょうか。我が国の緩和ケアは緩和ケア病棟(ホスピス)を中心に発展してきた経緯があり、また、緩和ケア病棟に入院される患者さんのほとんどが、がん患者さんであったこともあり、「緩和ケア」=「がんの終末期」と思われても無理もないと思います。実際に、当科に紹介される患者さんもこのように思っておられる方は多く、このために緩和ケア科への紹介を快く思われない方がおられる(自身の病状が終末期だと思われるので)のも事実です。
さて、上述の文章で「まだ多い」と書かせていただいたのは、今現在緩和ケア科で行っている診療は終末期のケアだけではないからです。入院中に関わらせていただく患者さんの約半数は、化学療法継続中に痛み・吐気や不眠など何らかの症状の改善を目的に診療をさせていただいておりますし、約4割の患者さんは症状が改善した後に自宅退院されています。
この傾向は全国的にも同じで、2006年に「がん対策基本法」という法律が成立してから、緩和ケアは終末期の患者さんのケアだけでなく、診断時や治療中の患者さんの対応の充実にも力が注がれています。当院は、「緩和ケア病棟を持たない、がん診療連携拠点病院」であり、当科での入院はお引き受けしておらず、他診療科入院中あるいは当科外来に通院可能な患者さんへの診療を行っております。緩和ケアチームが診療を提供させていただく患者さんの対象は、がん患者さんだけではなく、心不全など非がん疾患の患者さんへ広がりつつありますので、症状緩和を中心とした当科の提供する診療を役立てていただける機会は多くあると思っております。
診断時と治療中、終末期で症状が異なれば当然必要な対応も異なりますし、患者さん・ご家族の状況によって個別のケアを提供させていただいております。もちろん当科のみで対応困難なケースも多々あり、他診療科の医師や、薬剤師、緩和ケアに携わる専門的知識を持った看護師、ソーシャルワーカーなど医療支援センターのスタッフと随時相談しながら個別のケアを提供できるように努めております。