対象医療と治療方法
検診で発見される検尿異常や尿蛋白が高度にみられる(ネフローゼ)腎臓病
尿蛋白や潜血などの検尿異常や蛋白が多量であるため多くの場合むくみがみられる症例では、病名診断や病気の程度を詳しく評価する目的で腎生検とよばれる検査が必要となることがあります。この検査では入院が必要で、うつぶせの状態で局所麻酔を行い超音波で腎臓の位置を確認しながら検査針をすすめて腎臓の一部分を採取し顕微鏡で評価するものです。この結果により治療方針を決定し適切な治療を提供いたします。
急速に腎機能が低下する急性腎不全
急性腎不全は数日程度の短期間で急速に腎機能が低下してしまう状態です。迅速に原因を検索し治療を行うことで、腎機能を改善させることができることがあります。様々な要因で急性腎不全となりますが、腎臓内科のみならず病態に応じて泌尿器科など関連する診療科と連携して治療にあたります。
徐々に腎機能が低下する慢性腎不全
腎臓自体の病気や糖尿病や高血圧症などの全身にかかわる病気が原因となる糖尿病性腎症や腎硬化症など様々な病態により腎機能が低下することがあります。なるべく腎機能が低下しないように薬物療法や食事療法、生活習慣の改善による治療を行います。
多発性嚢胞腎
この病気は左右両方の腎臓に多くの嚢胞といわれる良性の液体のたまった袋がみられ、次第に大きくなり、腎臓の機能が低下する遺伝する病気です。慢性の病気ですが、70歳までに約半数の方が腎不全に至ります。当科では対象となる方にトルバプタンという利尿薬の内服による治療で嚢胞の増大および腎機能低下を抑制する治療に取り組んでいます。この病気は腎臓のみでなく、肝嚢胞や脳動脈瘤など他臓器の合併症もあり注意して診療しています。
腎臓の機能がほぼなくなってしまった腎不全
急性および慢性腎不全に対する治療をおこなっても腎機能が高度に低下した場合に尿毒素を減少させるために腎代替療法が必要となり、以下のいずれかの治療を行います。
① 血液透析
血管内より血液をくみ出してダイアライザーという装置を通して血液中の毒素や余分な水分を除去した血液を血管内に戻す治療法です。通常、月水金曜日または火木土曜日の週3回、1回4時間以上の治療を行います。
② 腹膜透析
まず腹部にカテーテルとよばれる管を留置する手術を行います。この管を用いて腹腔とよばれる空間に治療液を貯留し、標準で1日3回から4回程度ためていた液の出し入れを行う治療法です。タイマーのついた自動で液を交換する専用機器を使用すると交換回数を減らすことができます。在宅での治療が中心となり、通院回数は2週間から4週間に1度となります。
③ 腎移植
親族から腎臓の提供をうける生体腎移植およびネットワークを通じた献腎移植がありますが、いずれも当院では施行しておりません。移植を希望される場合には手術を施行されている医療機関を御紹介いたします。