ICU(集中治療部) (あいしーゆー(しゅうちゅうちりょうぶ))
対象医療と治療方法
(1) 麻酔
麻酔集中治療科医師の仕事の基本は手術室内の麻酔業務にあります。具体的にいうと患者さんの痛み・意識をとることになりますが、それに付随して呼吸・循環を中心に全身の状態を維持し、手術中の患者さんの安全を守るという非常に重要な役割を担っています。特に最近では様々な合併症を持った患者さんの手術が多く、あらゆる疾患に対応が迫られる麻酔科医の質が手術の経過に直接影響を及ぼす事が多くなっています。
当院では17の手術室を有しており、年間手術件数は約10000件です。麻酔集中治療科医師は、ここで行われる手術のうち全身麻酔、脊椎麻酔、硬膜外麻酔、神経ブロックを有する症例を担当し、年間約8000件の麻酔を管理しております。手術症例は、心臓血管外科、消化器外科、呼吸器外科・内科、整形外科、脳神経外科、産科・婦人科、泌尿器科、小児外科、形成外科、耳鼻咽喉科、眼科、口腔外科、皮膚科と多岐にわたっており、様々なニーズに対応した麻酔管理を行っております。
臨床研修医が麻酔を担当することがありますが、この場合は必ず麻酔指導医がペアとして担当していますのでご安心ください。
(2) 集中治療部(ICU)
集中治療部は中央棟2階に位置し、10床のベッドを有しています。ICUでは、一般病棟では管理できないほど重症の患者さんが24時間体制で治療を受けており、人工呼吸管理、血液浄化療法、血圧や脈拍などの循環管理、厳密な水分(輸液)管理、適切な栄養管理が要求されます。これらは、普段から麻酔集中治療科医師が手術麻酔で行っていることであり、最も得意とするところです。
当ICUでは心臓血管外科術後(先天性心疾患、成人開心術、大血管手術)、食道癌術後、院内で発生した重症患者さんを収容して集中治療を行っています。24時間常に麻酔集中治療科医師が3名専従し、重症患者さんの治療にあたっています。
また、他院からの重症患者さん(重症感染症・敗血症・多臓器不全・DIC・ARDS・重症急性膵炎など)にも積極的に対応し、地域医療に貢献しています。
(3) 救急
現在、当院でも救急体制の重点強化に取り組んでおり、主に全身管理の必要な重症患者さん(多発外傷・全身熱傷、小児心肺停止・熱中症・電撃傷・急性薬物中毒等)の救急隊からの直接搬入にも対応しています。救急処置の後ICUにて引き続き集中治療体制に入っております。