リエゾンチーム
				
															
					活動の目的
				
								リエゾンチームは、「せん妄」や「抑うつ状態」などをはじめとした精神症状の予防、およびその早期発見による速やかな治療導入と看護ケアの提供を目指して活動しています。また、治療およびケアの充実のために必要な医療スタッフへの教育・啓蒙や、「せん妄」ケアのための院内システムの構築などを行っています。 
「せん妄」とは以下のような状態を言います。 
・意識が障害されてぼんやりしていたり、もうろうとしている 
・言うことのつじつまが合わず、妄想を訴えたり、呆けたように見える 
・夜眠らずに興奮したり、昼夜逆転になっている 
・症状が変動しやすく、夜間に不安定となることが多い 
・点滴やチューブを自分で抜いてしまったり、安静が保てない 
「せん妄」とは、例えて言えば非常に程度の強い寝ぼけのような症状で、全身の状態が悪くなったり、入院により環境が変わることなどでしばしば(入院中の患者さんの11-33%)起こります。治療上必要な点滴や安静などの妨げとなることが多く、時として生命に危険が及ぶことにもなりうるため、速やかな対処が必要です。特に入院患者さんの安全やケアを考える際に、最重要な課題のひとつとなっています。 
							
					活動の内容
				
															
					① リエゾンリンクナースの養成
				
								各病棟にせん妄、抑うつなどの精神症状に対するメンタルケアの中心的な役割を担うリエゾンリンクナースを養成するために研修会(現在は座学7時間45分・演習約6時間)を行っています。研修終了後には、各病棟の実情に合わせてスタッフ教育や患者さんのカンファレンスなどを行って、実際のケアを展開しています。
リンクナースは毎年度養成し、養成研修終了者には、フォローアップ研修を行っています。
			
								リンクナース研修
	| 回数 
 | 年度 
 | 内容 
 | 備考 
 | 育成人数 
 | 
	| 1 | 2013 | 精神科医による講義とスケールを用いた演習 
 |  |  | 
	| 2 | 2014 | 精神科医による講義とスケールを用いた演習 
 |  |  | 
	| 3 | 2015 | 精神科医による講義とスケールを用いた演習 
 |  |  | 
	| 4 | 2016 | 精神科医による講義とスケールを用いた演習 
 |  |  | 
	| 5 | 2017 | 精神科医とリエゾンナースによる講義とスケールを用いた演習、2回開催 
 |  |  | 
	| 6 | 2018 | リエゾンナースや多職種による講義とスケールを用いた演習、5回開催 
 | せん妄リンクナースからリエゾンリンクナースに変更 
 | 19名 
 | 
	| 7 | 2019 | リエゾンナースや多職種による講義とスケールを用いた演習、5回開催 
 | 2019~2020年度 2年計画で育成プログラム作成 
 | 17名 | 
	| 8 | 2020 | リエゾンナースや多職種による講義とスケールを用いた演習、4回開催 
 | 
	| 9 | 2021 | リエゾンナースや多職種による講義とスケールを用いた演習、3回開催 
 | 秋から次年度にかけての開催に変更、コロナ禍によりWeb研修利用 
 | 16名 
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	| 10 | 2022 | リエゾンナースや多職種による講義とスケールを用いた演習、3回開催 
 | コロナ禍によりWeb研修利用 
 | 17名 
 | 
	| 11 | 2023 | リエゾンナースや多職種による講義と演習(全10回のプログラム) 
 | リエゾン院内認定看護職員育成講習と名称変更 
 | 16名 
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	| 12 | 2024 | リエゾンナースや多職種による講義と演習(全10回のプログラム) 
 |  | 11名 
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フォローアップ研修
	| 回数 
 | 年度 
 | 内容 
 | 
	| 1 | 2014 | せん妄ケアの問題点についてワークショップ 
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	| 2 | 2015 | せん妄ケアの問題点についてワークショップ 
 | 
	| 3 | 2016 | せん妄ケアの問題点についてワークショップ 
 | 
	| 4 | 2017 | せん妄ケアの問題点についてワークショップ 
 | 
	| 5 | 2018 | せん妄ケアの問題点についてワークショップ 
 | 
	| 6 | 2019 | リエゾンチーム・認知症ケアチームとの協働に関する連絡会:年2回 
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	| 7 | 2020 | せん妄ケアフロー、身体拘束解除に向けたケアに関する学習:年1回 
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	| 8 | 2021 | せん妄ケアフロー、認知機能障害に対する看護計画立案等に関する演習:年3回 
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	| 9 | 2022 | リエゾンチーム・認知症ケアチームとの協働に関する連絡、サイコオンコロジーに関する学習:年3回 
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	| 10 | 2023 | リエゾンチーム・認知症ケアチームとの協働に関する連絡、自殺リスク対策に関する学習:年3回 
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	| 11 | 2024 | 身体的拘束最小化に関する学習・演習:年3回 
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※フォローアップ研修として企画書があるのは2019年以降です
							
					② 病棟薬剤師への教育研修
				
								当院では各病棟に薬剤師が配置され、薬の飲み方の指導をしたり、副作用の相談を聞いたり、入院患者さんの近くで入院治療を支援しています。実際に入院患者さんとコミュニケーションをとる機会を活かして、「せん妄」の早期発見や、「せん妄」を引き起こす心配のある薬のチェック、「せん妄」への治療薬の副作用の監視などを行うことができます。そのために、病棟薬剤師にも研修会(約4時間)を行って、知識を深めてもらうようにしています。
							
					③ 多職種ワークショップ
				
								せん妄対策では多職種が協働し、できれば予防的介入を行うことが重要です。多職種でせん妄についてグループディスカッションを行うワークショップを年に1回開催しています。
			
								
	| 回数 
 | 年度 
 | 内容 
 | 
	| 1 | 2017 | 「せん妄への予防的介入」「非薬物療法的鎮静法」についてワークショップ 
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	| 2 | 2018 | 「せん妄の予防的介入」「せん妄スクリーニングと身体拘束」についてワークショップ 
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	| 3 | 2019 | 「術後せん妄への予防的介入」「非薬物療法的鎮静法」についてワークショップ 
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	| 4 | 2020 | 「低活動せん妄への対応」「せん妄患者の家族対応」についてワークショップ 
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	| 5 | 2021 | 「せん妄と認知症の鑑別」「身体拘束」についてワークショップ 
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	| 6 | 2022 | 「認知症に重畳したせん妄への対応」「せん妄患者の退院支援」についてワークショップ 
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	| 7 | 2023 | 「多職種の視点で考えるせん妄予防」「身体拘束を含むせん妄患者への対応」についてワークショップ 
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	| 8 | 2024 | 「多職種の視点で考えるせん妄対応」「身体的拘束最小化」についてワークショップ 
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					④ 全体研修会
				
								認知症ケアと合わせて基礎的な知識の習得を目的に、全職種を対象とした講義形式の研修会を年に2回行っています。
			
								
	| 回数 
 | 年度 
 | 内容 
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	| 1 | 2017 | せん妄及び認知症に関する基礎的事項に関する研修、2回 
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	| 2 | 2018 | せん妄及び認知症に関する基礎的事項に関する研修、2回 
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	| 3 | 2019 | せん妄及び認知症に関する基礎的事項に関する研修、2回 
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	| 4 | 2020 | せん妄及び認知症に関する基礎的事項に関する研修、2回 
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	| 5 | 2021 | せん妄及び認知症に関する基礎的事項と薬物療法に関する研修、各1回 
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	| 6 | 2022 | せん妄及び認知症に関する基礎的事項と薬物療法に関する研修、2回 
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	| 7 | 2023 | せん妄及び認知症に関する基礎的事項と薬物療法に関する研修、2回 
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	| 8 | 2024 | せん妄及び認知症に関する基礎的事項と薬物療法に関する研修、2回 
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					⑤ 看護師アンケート
				
								病棟看護師への教育効果を検証する目的で、経時的にアンケート行っています。これまでの3回の結果では、病棟看護師のせん妄への対応力向上を示す結果が得られています。
			
								
	| 回 | 年度 | 内容 | 
	| 1 | 2012 | 病棟看護師に「せん妄」対応力に関する主に10項目の自己評価 
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	| 2 | 2014 | 病棟看護師に「せん妄」対応力に関する主に10項目の自己評価 
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	| 3 | 2016 | 病棟看護師に「せん妄」対応力に関する主に10項目の自己評価 
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	| 4 | 2021 | 病棟看護師に「せん妄」対応力に関する主に10項目の自己評価 
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					⑥ せん妄ケアフロー(院内せん妄対策システム)の運用
				
								「せん妄」患者さんへのケアをもれなく提供できるために、院内全体での統一された取り組みを行っています。
まずは入院時に個々の患者さんがどれくらいせん妄になりやすいかを評価します。一定の基準に基づいてなりやすいと判断されると、すでに「せん妄」を起こしていないか評価します。その時点で「せん妄」であると判断されたら、速やかに看護ケアの提供や精神科医による診察を依頼します。その時点では「せん妄」ではないと判断されたら、要注意として必要に応じて「せん妄」を起こしているかの評価を行っていきます。
			
								
	| 年度 | 内容 | 
	| 2014 | 11月よりせん妄ケアフローテンプレートの運用を開始 
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	| 2015 | CAM-J評価の精度向上に向けて、3D CAMで用いられた評価項目のリストを作成し、配布 
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	| 2016 | せん妄ケアフローテンプレートに観察項目を追加して改訂 
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	|  | 患者家族向けのせん妄パンフレットの利用開始 
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	| 2017 | 精神科リエゾンチーム稼動 
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	|  | 不眠時の有訴時指示薬をルネスタ、トラゾドンに限定 
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	| 2018 | せん妄リスク、CAM-Jを点数化して評価するようせん妄ケアフローテンプレートを改訂 
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	| 2019 | 病棟薬剤師によるせん妄リスク薬の確認、情報共有を開始 
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	|  | せん妄ケアフローテンプレートの運用監査を開始 
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	| 2020 | 予定入院患者にせん妄オリエンテーション用紙を合わせて配付 
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	|  | せん妄ハイリスク患者ケア加算に合わせて、せん妄ケアフローテンプレートを改定 
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	| 2021 | 不眠時の有訴指示薬をベルソムラまたはデエビゴ、トラゾドンに限定 
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					活動開始時期
				
								当初は、「せん妄教育ワーキンググループ」として、平成24年度より活動を開始しました。
26年度より「せん妄対策部会」として、医療安全管理委員会の下部の部会として位置づけられました。
29年度より「精神科リエゾンチーム」が稼働し、「リエゾン・認知症ケア部会」がつくられたのに合わせ、保険診療委員会の下部の部会に変更となりました。
							
					構成メンバー
				
								医師 (精神科)
看護師:認知症看護認定看護師、精神科認定看護師を含む
薬剤師:
臨床心理士:
作業療法士
社会福祉士
管理栄養士