部門紹介
総合診療科は2010年4月1日より正式に診療を開始しました。平成18年8月にがん診療連携拠点病院に指定された当院は、がん診療、難病診療、救急診療等の高度に専門化した医療を中心に提供する体制となっており、従来のように、風邪症状、高血圧などの軽症患者、特に紹介状を持たずに来院される患者さんの診療を行うことが困難となってきていました。このように各専門科に高度に分化した当院において、特に紹介状を持参されていない発熱、腹痛、風邪症状等の軽症患者さん、あるいはどの科にかかればよいのかがわからない患者さん、救急科を夜間・休日に受診した経過観察の必要な患者さんを中心に診療を行っています。
一日の総合診療科受診患者数は、月曜日が30人前後と多く、少ない日は15人程度です。2020年度および2021年度は新型コロナウィルス感染症の影響でかなり減少しましたが、年間で延べ約5000名(初診患者は約2000名)の診療を行っています。医療連携(紹介)患者の数も10年間で5倍以上に増加してきています。救急科からの翌診の患者を除くと、身体的症状よりも精神的な症状が主体と思われる方が多く、検査等を行っていかに心配ないかを納得していただくことがとても大切と考えています。またいろいろな病院を受診したが良くならない、あるいはその病院の診療に納得できないということで紹介状を持たずに受診される方も多いです。原則的にはかかりつけ医とよく相談するようにお話させていただいておりますが、強い希望があれば当然当院でもう一度精査を行っています。ただし、当院は全国でも有数の患者さんが受診する大病院であり、CT、内視鏡等の検査が1カ月以上先でないと予約できないこともよくあります。そのような場合には、他院と連携、紹介させていただくことがあります。さらに診断がついた後も、悪性腫瘍、難病、緊急を要する疾患等でない場合には原則的に、適切なかかりつけ医への逆紹介をさせていただいております。
2018年4月に新たに感染症専門医が赴任しました。HIV感染をはじめとした様々な感染症診療や新型コロナウィルス感染症の重症例や合併症併発症例の入院診療を呼吸器内科、麻酔科とともに行っています。しかし、総合診療科専属(専従)の医師は後期研修医2名を含めても5名のみで、消化器内科、呼吸器内科、脳神経内科等との兼任医師にも協力してもらって診療を行っております。そのために、午後に受診された方は緊急性のある方を除いては、受付にて午後診療を行っている他院を紹介させていただいております。
まだまだ診療科としてはスタッフの数も不十分で、不行き届きな点もあるかと思いますが、珍しい疾患に遭遇する機会も多く、医学生や初期研修医には人気があり、多くの医学生や研修医に見学や診療を行ってもらっています。高度に専門的な医療を提供する当院の各専門科と、風邪や胃腸炎、あるいは軽症の糖尿病、高脂血症、高血圧などをみていただくかかりつけ医との橋渡しとなるよう引き続き頑張っていきたいと考えています。