部門紹介
形成外科とは主として体表の形の異常や色の異常を治療する科です。その対象疾患は多岐にわたり、治療は形や色にとどまらず、機能的な整復も目指します。具体的には以下のような疾患の治療を行っています。
<先天性疾患>
口唇、口腔内:口唇裂・口蓋裂、舌小帯短縮、鼻咽腔閉鎖不全、顎変形症
耳:小耳症、埋没耳、折れ耳、たち耳、副耳、耳瘻孔、耳垂裂
まぶた:先天性眼瞼下垂、逆まつげ、眼瞼欠損
手足:合指症、多指症
その他:副乳、でべそ
<外傷>
顔面骨折:鼻骨骨折、頬骨骨折、上顎骨骨折、眼窩底骨折
顔面挫創;顔面の切り傷、擦り傷
手足の挫創:手足の切り傷、擦り傷
熱傷:熱傷の初期治療、術後のひきつれの整復
<腫瘍>
皮膚上、皮膚直下にある良性腫瘍のすべて:粉瘤、石灰化上皮種、脂肪腫、色素性母斑、脂腺母斑、表皮母斑、黄色腫、神経線維腫、ほか
皮膚上、皮膚直下にある悪性腫瘍のすべて:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、ボーエン病、乳房外ページェット病、ほか
<アザ>
赤アザ:単純性血管腫(毛細血管奇形)、乳児血管腫(イチゴ状血管腫)、動静脈奇形、静脈奇形(海綿状血管腫)、口唇静脈湖
青アザ:太田母斑、異所性蒙古斑
茶アザ:扁平母斑、カフェオーレ斑
黒アザ:色素性母斑、獣皮様母斑
シミ・刺青(保険診療外の治療)
<変性疾患・加齢疾患>
まぶた:眼瞼下垂、眼瞼けいれん、逆まつげ
爪:巻き爪、陥入爪
顔面神経麻痺:静的再建・動的再建、神経移植
その他:加齢性のいぼ・血管腫
<各種再建手術>
乳がん切除後乳房再建:インプラントによる再建、広背筋皮弁による再建、腹部組織を利用した再建、脂肪注入による再建、乳頭形成、乳輪乳頭色 素調節
頭頸部癌切除後再建:舌癌・口腔底癌・歯槽癌・上顎癌・外耳道癌の術後再建
整形外科術後皮膚欠損の再建
各種組織欠損の再建
広島市民病院に形成外科が開設されて45年、以上見ていただいておわかりいただけたかと思いますが当院形成外科の診療範囲は頭頂から足先まで多岐にわたります。令和2年は新患総数1375人、入院患者数560人、全身麻酔手術445件、局所麻酔手術560件の合計1005件。その他レーザー治療などが356件にのぼり、全身麻酔レーザーも29件施行いたしました(診療実績参照)。コロナによる受診控えや手術制限により令和元年より件数が減りましたが、それでも実績は日本で有数の件数を維持していると自負しております。
当科の特徴として小児先天性疾患、乳がん術後乳房再建、まぶたの形成手術に力を入れています(診療実績参照)。特に口唇裂口蓋裂センターを立ち上げ、多くの科と連携して治療を行っている口唇裂・口蓋裂は手術件数が中国四国で1番なだけでなく、治療成績はそれ以上の結果を残していると自負しております(HP<広島口唇裂口蓋裂研究会>参照)。また乳腺外科と協同したブレストケアセンターの活動も活発で乳腺外科の手術件数だけでなく、当科による乳がん術後の乳房再建の件数もやはり中四国で1,2の件数を誇っています。さらに眼瞼下垂、上眼瞼・下眼瞼の内反症、まぶた周囲の悪性腫瘍切除後の再建も中四国では群を抜いております。
当院は新生児科、NICU,小児科が充実しており、また心臓血管外科や小児科も活発に診療されているため、病院全体での小児手術件数が非常に多く、安心して小児の手術を受けていただける環境が整っていると思います。当形成外科においても、小児手術には非常に力を入れており、6歳未満の幼少児・乳児の全麻手術件数が毎年年間150件前後に及びます。
我々はただ手術に力を入れているだけではありません。多くの耳介変形は早期に矯正治療を開始することで手術不要になりますし、乳児血管腫も早期に治療を開始することで痕跡を残さず治せます。近隣の小児科・産婦人科との連携を密にすることで早期治療を可能にしています。