総合周産期母子医療センター (そうごうしゅうさんきぼしいりょうせんたー)
対象医療と治療方法
手術が必要な疾患も含めて、すべての新生児疾患に対応可能です。院内の関連各科(小児科、循環器小児科、神経小児科、小児外科、心臓血管外科、脳神経外科など)と連携して、複雑な先天性疾患にも対応いたします、出生体重1,000g未満の超低出生体重児の全身管理も可能で、年間15名前後入院されています。重症新生児仮死に対する最高レベルの治療である低体温療法も年間5例前後の実績があります。
新生児医療に必要な専用機器もそろっています。保育器はアトム社のインキュアイを主に使用しています。人工呼吸器はSLE2000、SLE5000、VN500、カリオペα、PB980を、また呼吸補助としてインファントフローSiPAP、プレシジョンフロー、Optiflowが使用可能です。様々な新生児の呼吸疾患の治療が可能です。重症の新生児肺高血圧症に対するNO吸入療法(アイノフローDSを使用)も行っています。超音波診断装置(エコー)はPhilipsのEPIC7(図5)とALOKAのProsound α10を所有しています。新生児の循環動態をその都度評価・診断して治療を行っています。令和3年には新生児用気管喉頭ファイバーを導入します。咽頭・喉頭・気管の先天異常に対する診断の向上が期待できます。
図5 超音波診断装置EPIC7
新生児搬送は専用のドクターカー(図6)にて24時間365日対応可能です。原則は当院への入院となりますが、当院への入院が満床等で困難な場合は、近隣の総合・地域周産期母子医療センターと連携し、病的新生児の治療がおくれることのないように救急搬送しています。(図7、図8)
図6 専用ドクターカー
図7 広島県の周産期医療体制(令和2年5月1日現在)
図8 中国地方広域の 周産期医療体制
院外で出生され、搬送入院となった新生児も、状態が落ち着けば出産された病院にお帰りいただくことができます。少しでもお母さんと一緒に過ごせるようにできるだけ対応しますが、新生児の治療を優先しての対応となります。
COVID19流行下のため、入院されている新生児のご両親の面会もやむをえず制限していますが、可能な限り実施しています。
① 2週間の同居のご家族全員(サポートをしていただく方を含めて)の健康チェック下での入室面会
② 新生児センターのガラス窓越しの面会(図9)
③ タブレットを用いたリモート面会(図10)の3通りの方法があります。
いずれも予約制です。また、退院前の準備として、センター内の個室(図11)で母児同室(予約制で一日あたり数時間可能)も行っています。ご希望があれば小児科病棟での退院前の母子入院(2泊3日程度)もできる限り対応しています。
図9 ブラインドをあけて窓越し面会ができます
図10 タブレット端末と会議システムを併用したリモート面会の様子
画面ごしではありますが、赤ちゃんにあえます
図11 母児同室の個室
時に退院時に在宅での医療が必要なお子さんもおられますが、入院中から訪問看護ステーションや地区の保健師とも連携(直接の面談、オンライン面談可能)し、ご家庭での育児の負担をへらせるようにお手伝いさせていただきます。
産前産後の妊婦さん自身と家族を総合的に支援するために「周産期トータルケアサポート部会」を設けています。行政担当者も招聘し、定期的に会議を行い、必要な方に支援が届くように努めています。
退院後もフォローアップ検診を当院小児科や近隣小児科と連携して行っております。退院後の発達検査(新版K式発達検査、WISC-Ⅳ検査など)も予約制で行っております。支援が必要な場合は、広島市こども療育センターや県立リハビリテーションセンターなどと連携いたします。
また、新生児蘇生のために標準化された新生児蘇生法(NCPR)の資格をほぼ全員のスタッフが取得しています。当センターは中国地方で唯一のNCPRトレーニングサイトであり、医療従事者むけの公認講習会を定期的(1回/月程度)おこなっています。当センター主催の講習会は2009年から行っており、令和3年5月現在で68回実施しています。受講希望の医療従事者の方はNCPRホームページより申し込み可能です。