業務紹介
病理検査室(病理診断科)
病理検査室では、現在11名の臨床検査技師が5名の病理医とともに病理診断科の一員として働いています。
主な業務は、病理組織検査、細胞診検査、病理解剖です。
病理診断科のページも参照してください。
病理組織検査
手術や検査で採取された臓器や組織を、顕微鏡などを用いて診断する検査です。検査技師は主に臓器の切り出し補助や標本作製、染色等の業務を行っています。
細胞診検査
検査等で採取された様々な材料(婦人科検体、胸腹水、喀痰など)を、顕微鏡を用いて異型細胞の有無を確認する検査です。検査技師は標本作製やスクリーニング等の業務を行っています。
病理解剖
病院で亡くなられた方を対象に、直接死因の解明や治療効果の判定などを目的に行う解剖です。検査技師は病理医の解剖の補助業務を行っています。
臨床検査室
臨床検査室は、臨床検査室(一般検査部門、血液検査部門、生化学・免疫検査部門)、細菌検査室、輸血検査室に分かれています。
一般検査
一般検査では尿、髄液、胸水・腹水、関節液など様々な種類の検体を検査しています。
尿検査
腎尿路系疾患および全身疾患のスクリーニング検査として重要です。尿定性検査では尿蛋白、尿糖、尿潜血などを検査しています。尿沈渣検査では尿中の有形成分である上皮細胞類、血球類、円柱類、塩類・結晶類、細菌類について自動分析装置や顕微鏡を用いて分類しています。
髄液検査
髄膜炎や脳腫瘍、クモ膜下出血などの診断をするときに行います。髄液中の細胞数や糖などで判断していきます。
胸水・腹水検査
胸腔内に貯留した多量の液体を胸水、腹腔内に貯留した多量の液体を腹水といいます。その貯留の原因検索として細胞や蛋白などの測定をします。
関節液検査
痛風や偽痛風、化膿性関節炎などで関節液が貯留することがあります。白血球数や結晶などを測定します。
血液検査
血液検査
血液検査は貧血、白血病などの血液疾患を診断する時に欠かせない検査です。採血した血液中には、細胞成分である赤血球、白血球、血小板が存在します。これらの細胞成分の算定と、白血球の形態を分類します。また、白血球中のリンパ球は、Bリンパ球、Tリンパ球、NKリンパ球で構成される免疫応答を担っています。リンパ球表面マーカーという検査を実施し、リンパ球の種類と割合を同定します。
その他、疾患によっては骨髄検査を行い、骨髄液の細胞数と細胞形態を顕微鏡で分類します。
凝固・線溶検査
凝固・線溶検査は、血管が傷ついて出血した時の止血機能をみる凝固検査と、止血の際にできた血栓を溶解する機能をみる線維素溶解検査です。血液を固まりにくくさせる抗凝固薬の効き目を評価する時にも、凝固検査を行います。また、血小板の機能や抗血小板薬の効き目を評価する時に調べる検査として、血小板凝集能検査も実施しています。
生化学・免疫検査
生化学・免疫検査は患者さんから採取した検体(血液・尿・髄液・体腔液など)の中に含まれる成分を調べる検査です。
行っている検査は肝機能・腎機能・糖尿病関連検査・たんぱく質・脂質・血液ガス・肝炎ウイルス・腫瘍マーカー・甲状腺ホルモン・薬物血中濃度などがあります。
また、検査結果が正しく得られているかチェックするために毎日の内部精度管理の実施や外部精度管理に参加し、検査の質の向上に努めています。
チーム医療
チーム医療への参画として、検査部では以下のような取り組みを行っています。
・NST(栄養サポートチーム):病棟ラウンドの参加や講習会での講師を担当
・糖尿病療養チーム:糖尿病教室で講師の担当、自己血糖器の管理や指導
細菌検査
細菌検査は感染症が疑われるときに行われます。患者より採取した検査材料(喀痰・尿・便・血液など)を用いて、肺炎や下痢、敗血症などを発症させる原因菌を検査し、菌の種類やその菌に対する抗菌薬の有効性などを臨床に報告しています。
・安全キャビネット内で検査材料を様々な培地に接種して培養し、感染の原因菌を特定します。検査材料が汚染されることを防ぎ、また検査技師の健康を守ることになります。
安全キャビネット
・染色液で細菌を染め分けて、顕微鏡で観察します。通常はグラム染色ですが、抗酸菌(結核菌など)を疑う時は特殊な染色をし結果を早急に報告します。
顕微鏡検査
チーム医療
・ICT(感染制御チーム):病棟の抗菌薬ラウンド・環境ラウンドへの参加。地域病院との連携。
医療従事者に対する感染研修会の開催や講習会で講師を担当。
輸血検査
輸血検査室では輸血に関する様々な検査を行っています。また、血液センターから供給された輸血用血液製剤や患者さん自身の自己血の保管管理をしています。
輸血検査
主に血液型検査や不規則抗体スクリーニング検査、交差適合試験を行い、患者さんに適合する血液製剤を準備しています。
製剤管理
輸血検査室では赤血球製剤や新鮮凍結血漿などの輸血用血液製剤を保管、管理し輸血が必要となった場合には、輸血管理システムを駆使して安全な血液製剤を迅速に届けています。
生理検査室
心電図検査
心臓の電気的な活動の様子をグラフの形に記録するもので、心疾患の診断と治療に役立ちます。
安静時心電図
両手首と両足首にクリップ式の電極をはさみ、胸に吸盤式の電極を取り付けます。
小児にはシール式の電極を装着します。力が入ると筋肉の電気的活動が混入して、波形が
判別しにくくなるため、力を抜き落ち着いた状態で臥床して記録します。
負荷心電図
主に運動することで心臓に負荷を加え、その直後から回復するまでの心電図を記録する検査です。狭心症、特に労作性狭心症の診断に有効です。他に立位負荷、駆け足負荷、薬物負荷などがあります。
トレッドミル検査
心電図の電極を装着したまま、回転するベルトの上を歩行し、心電図変化や血圧の変化を観察する検査です。
レートポテンシャル検査
心筋梗塞や心筋の炎症・変性による、心筋の伝導遅延電位を体表面から記録し加算平均する検査です。心室性の不整脈を起こしやすいかを精査する検査です。
ホルター心電図
胸に電極をつけたままで、携帯用の心電図記録器を装着し、24時間通常通りの生活をしながら、心電図を記録し解析する検査です。入浴も可能です。
脈波検査
足関節上腕血圧比/脈波伝播速度検査
腕と足首に血圧のカフを巻き、血圧を同時に測定する検査です。腕と足の血圧の比較や脈波の伝わり方を調べることで、動脈硬化の程度を数値として表します。
指尖容積脈波
手や足の指に光線を当てて脈を感知する検査です。末梢循環障害や動脈硬化の程度を調べます。
呼吸機能検査
肺機能検査
肺の大きさや気管狭窄の有無、酸素の取り込みの程度を調べる検査です。主に呼吸器疾患の状態評価、全身麻酔手術前のスクリーニング検査として行われます。
超音波検査
超音波検査は人間の耳に聞こえない高い周波数の音(超音波)を利用するものです。医療器具(プローブ)を体表にあてて超音波信号を送信し、体内臓器から反射された超音波信号をプローブで受信します。この反射信号をコンピューター処理し画像化することで体の中を観察していく検査です。また、放射線を使用しないため被爆の心配がない安全な検査です。
超音波検査の対象は心臓・腹部・体表・血管などです。
検査時はベッドに寝ていただき必要に応じて仰向け、横向き、座位の姿勢をとります。目的とする部位にエコーゼリーを塗り、超音波を送受信するプローブを押し当てて検査を行います。検査時間は部位や目的によって異なりますが、概ね30~60分を目安としています。症状の原因検索や病態把握をすることで、治療方針決定の一端を担っています。
心臓超音波検査
心臓超音波検査は、心臓の形態や動き、弁の性状や血液の流れなどをリアルタイムに動画で観察します。心臓弁膜症、虚血性心疾患、心筋症などの診断に用いられ、治療方法の選択や治療効果の判定、手術時期の決定などに役立ちます。
検査は、上半身軽装または検査着に着替え、ベッドに左横向きになった状態で行います。胸の中央から左胸を中心にプローブをあて、様々な角度から心臓を観察します。
心臓血管外科・循環器内科と定期的に合同カンファレンスを行い、情報を共有しています。
心臓血管外科、循環器内科、生理検査室合同カンファレンスの様子
腹部超音波検査
肝臓・胆嚢・膵臓・腎臓・脾臓・消化管・腹部大動脈などが検査対象です。がんなどの腫瘍性病変の有無や、腹痛・発熱などの原因・病態を調べています。必要に応じて、肝臓の組織の硬さを測る検査を行っています。
検査は衣服をずらして腹部全体を観察します。食事により観察が難しくなる臓器があり、検査には5時間以上の絶食が必要です。
頚部超音波検査
慢性甲状腺疾患や甲状腺・耳下腺・顎下腺の腫瘍の検索や経過観察に有用です。また甲状腺などの頚部臓器の手術後の経過観察にも利用されています。
広範囲に頚部を観察しますので、アクセサリーははずしていただきます。
血管超音波検査
頚動脈・下肢動脈・下肢静脈・上肢動脈・上肢静脈のほか、透析患者さんのシャント血管などが検査対象です。動脈は動脈硬化の状態を、静脈は血栓症の有無をしらべることが主な検査目的です。血栓やプラークの有無、狭窄や閉塞などの血管の状態、血流について評価します。
目的とする部位を観察しやすいよう、肌着以外の衣服を脱いでいただきます。
脳波検査
20本前後の電極を頭皮に装着し、脳の電気変動を連続的に記録するもので、大脳機能評価指標の一つです。
検査時間は30~60分、装着時・検査中ともに全く痛みを感じることはありません。
当院では年間2800件程の脳波検査を実施しています。
*脳波でわかること
てんかん波形の有無、様々な病態での意識障害の評価、脳の発育状態の把握、睡眠異常、脳死判定等が挙げられます。特にてんかんの診断には欠かせない検査です。
*検査内容
検査の基本は、覚醒時の安静閉眼状態で行い、必要に応じ以下の検査を追加します。
開閉眼試験
検査中に開閉眼を何度か繰り返します。
閃光試験
暗い部屋で11~13種類の光を10秒間ずつ点滅させます。
過呼吸賦活
普段の呼吸より少し速い速度で深呼吸を4分間程度続けます。
睡眠賦活
てんかんが疑われる場合に必要な検査です。突発波の出現は傾眠期に最も誘発されるため、うとうと状態を10~15分記録します。
*検査に当たっての注意事項
- 検査前日は洗髪し、頭皮を清潔にした状態でお越しください。
- ワックスや整髪料など、何もつけないでお越しください。又ピアスもご遠慮ください。
- 検査後ご自身での洗髪は可能です。(洗髪されない方は帽子を持参されるのも一考です。)
- 検査日時に来院できない場合は各診療科に必ず連絡してください。
*睡眠検査が必要な方への注意事項
- 起きている状態から寝始めまでの脳波が重要となります。寝入ってからの検査ではありません。睡眠不足気味でお越しください。検査前に寝てしまうと検査中に睡眠が出来ないことがありますので、来院前の車や電車の中など、なるべく寝ないようにして来院ください。
- 睡眠薬投与の指示のある方は検査前に医師の説明を受けて下さい。睡眠薬を服用された当日は、車・バイク等の運転は出来ませんので注意してください。その他、わからないことや予約の変更等は各診療科にお問い合わせください。
神経伝導検査
電気刺激を用いて人為的に末梢神経を興奮させ、神経や支配筋に生じた活動電位を体表面上から記録し、末梢神経の機能を客観的に評価する検査です。
例えば、四肢のしびれ・疼痛・脱力などを呈したりする神経障害(手根管症候群や糖尿病神経障害など)や顔面神経麻痺などの検査として用います。
電気刺激を用いますのでピリピリした痛みを伴うことがあります。流す電流が体に害を及ぼすことはありません。しかし、ペースメーカーや除細動器を使用されている方は誤作動を起こす可能性があり、原則禁忌となっていますので事前にご相談ください。
誘発電位検査
聴性誘発反応
音刺激によって聴覚の神経系に誘発される電位を聴性脳幹反応とよびます。
1.意識障害例の予後推定や脳死判定
2.新生児や乳児の聴力評価
3.手術下での聴力監視
4.脱髄などの神経炎や虚血、中毒に伴う聴神経機能の評価
5.腫瘍、出血、梗塞などの限局性脳幹部病変の障害部位と程度の把握
などに有用性が認められています。
当院では、主に上記1と2の評価目的で検査を行っています。
検査方法は、頭皮などに電極をとりつけ、ヘッドホンで耳から音刺激を加えます。
視覚誘発電位
網膜から大脳皮質視覚領に至るまでの視覚伝導路の機能評価に有用な検査です。
視力障害や視野欠損が認められるとき、多発性硬化症などの潜在的な視神経障害が疑われるとき、心因性視力障害・ヒステリー性障害・詐病などが疑われるときの評価に有用と言われています。
検査方法は、頭皮に電極をとりつけ、モニターにより目に光刺激を与えます。痛みなどはありません。
睡眠ポリグラフ検査
睡眠時無呼吸症候群、Restless legs症候群、周期性四肢運動障害、レム睡眠行動異常症などの様々な睡眠障害の診断に有用な検査です。
当院では入院して行う終夜睡眠ポリグラフ検査と、自宅で行う簡易診断装置を用いた検査を行っています。
終夜睡眠ポリグラフ検査は、脳波・筋電図・心電図・眼電図・呼吸センサーなど様々な装置を取り付け、睡眠状態の検査を行います。
簡易診断装置は、睡眠時無呼吸症候群の検査の診断の補助(スクリーニング)として用います。機器を貸出し、自宅で検査を行っていただきます。ただし、必ず貸出し翌日(閉院日の場合、直近の開院日)の午前11時迄に病院に返却していただけるということが条件となります。